未登記の借地権

Q:借地上の建物に住んでいるのですが、その地主が先日亡くなりました。そして地主の所有していた土地は相続人である地主の長男に引き継がれました。その長男から「借地権が登記されていないし建物も未登記になっているので土地を明け渡してくれないか?」と言われています。私たちは出ていく必要がありますか?

A:第三者への対抗ができなくなる
賃借権の場合、借地権の登記を地主は行う必要は必ずしもありません。ですから借地権の登記のなされていない可能性があります。
ただし借地権が未登記の状態であっても、その上に建設されている建物が登記されているようであれば、第三者に対してや移行することは可能です。
これは借地借家法や旧建物保護法などに記載されています。しかし今回のように、借地上の建物も未登記になっていると第三者に対抗することができません。ですからもし借地上の建物に関して登記手続きを済ませていないようであれば、速やかに登記手続きを進めることです。

登記手続きに関してですが、自分で行うことも理論上は可能です。ただし非常に煩雑な手続きですし、平日の日中しか受け付けていません。ですから普段仕事をしている人はなかなかスケジュールを確保するのも難しいでしょう。登記の申請に関しては、土地家屋調査士という資格を持った人に代行をお願いできます。

第三者とは?
借地権や建物を登記しておくことは、第三者に対する対抗要件となります。
ところでここでいう第三者とは、具体的にどのような人たちを指すのでしょうか?
第三者とは当事者やその包括承継人以外の人をさします。地主や借地権者がまず当事者になります。そして包括継承人には、相続人が含まれます。つまり今回のケースで見た場合、長男は地主の相続人となりますので第三者には当てはまりません。
つまり上で紹介した第三者に対する対抗要件が整っていなくても対抗は可能です。つまり長男がいくら土地の返還を求めてきても、土地を明け渡す必要はないです。